20140502-04 春山合宿 剱岳

メンバー:武藤、宮崎、阿久津、原口(投稿)
行動記録:
52
辻堂出発:2100
53(天候:晴れから曇り、雨と強風)
扇沢到着:0200
扇沢出発:0630
室堂出発:0900
別山乗越:1200
剱沢BC(八ツ峰組と合流):1300
54(天候:晴れから曇り)
剱沢出発:0430
平蔵谷登攀開始:0600
剣岳:1000
剱沢BC1300
剱沢出発:1330
室堂:1600
扇沢:1900


春山合宿の一環として「源次郎尾根」が計画されました。現地で「八ツ峰組」と合流する予定で、「源次郎尾根組」には4名参加、予定としては、
室堂 – 立山三山経由 – 剣沢ベース – 源次郎尾根取り付き – I峰 – Ⅱ峰 – 剣岳本峰 –  前剣 – 剣沢ベース – 室堂
とされました。

2日の夜、待ち合わせの辻堂を出発、中央道を安曇野で下り、扇沢到着は2時ごろとなりました。連休中のため駐車場はかなりの車で埋まっていましたが、下部の無料区域に駐車でき、とりあえずは扇沢ターミナルの屋根の下での仮眠となりました。すでに酒盛りが始まろうかとも思われましたが、今後の行動を考え、ほどほどに…。

翌朝5時ごろ起床すると、すでにチケット売り場の前には長蛇の列。6時半の始発のトロリーバスに乗るため、遅れてならじと我々もよろよろとこの列に加わったのでした。(チケットはJAFの会員証を提示すると10%の割引が効きます。我々もこの恩恵に預かることが出来ました。武藤さん、ありがとうございました。)

6時半のトロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイそれにトロリーバスと乗り継いでやっとのことで室堂に突き出たのが9時少し前、駅構内は登山客、スキー客、アジア諸国からの観光客を含む一般客でごった返していました。登山の届け出の際、我々の予定した立山三山はかなり風が強いから気をつけるようにアドバイスを受け、主眼は源次郎であるから、歩き出してみて状況を見ながら無理しないことを全員で確認。



9時過ぎに室堂を出発、室堂平から浄土山・雄山を目指しましたが。案の定、雲行きが怪しくなりだし、おまけに風も出てきました。この分では稜線上の風はかなりのものと予想され、すべての装備を背負った身には厳しい状況が予想され、明日のこともあるので、縦走は諦め雷鳥沢へと向かいました。別山乗越に出る頃には、霧とかなりの風が出てきて、少しの暖を取るべく剣御前小舎になだれ込んだのでした。隣では、すでにビールを片手に談笑する女性グループもいたりして、羨ましそうな目をしているメンバーもいたようです。

別山乗越から剣沢BCまで、霧と風の中を赤い旗に導かれ一気に下り、「八ツ峰組」と合流。この頃には雨風が強くなり、「八ツ峰組」の応援をうけ、天幕を張るべくブロックの切り出しにとりかかりました。荷物をとりあえず天幕の中に放り込み、ようやく宴会の支度が整う頃には、雨粒と強風が天幕のフライを叩くらいの天候となりました。外では、雷鳥が挨拶に来たのか、脅しに来たのか、ガーガーと鳴く声を聞きながら、「八ツ峰組」からその登攀の様子を聞き、我々は「おお!」「マジですか?」とひとしきり関心したものでした。中には、いずれ自分の課題にと心に誓ったメンバーもいたようです。明日は2時起床、4時出発の予定ということで就寝。天幕を叩く強風と寒さの中、ウトウトとすると、誰かのiPhoneの目覚ましが2時を告げました。天幕の外は、風もある程度収まり、星がキラキラと、絶好の源次郎尾根の登攀日和となるはずでした。


「八ツ峰組」のメンバー3人と合計7名で剣沢を源次郎尾根基部まで、アイゼンを効かせながら下って行きました。源次郎尾根へのルンゼにはすでに数パーティが取り付いており、さて我々も、というまさにその時、ルンゼ上部から二人の登攀者が滑落してきました。我々がいたルンゼ下部には上から流されたデブリが広がっており、二人は近くで停止、早速先を歩いていたメンバーが素早く対応、携帯がつながらないために、高橋さんがヘリを呼ぶために小舎を目指しました。この事故のため、予定していた源次郎尾根は中止し、塚越宮崎、阿久津、原口の四名で、平蔵谷から剣岳をめざすことになった次第です。



事故の興奮も冷めぬまま、6時ごろデブリの広がる平蔵谷を上部コルを目指してひたすら登りました。登り始めて2時間もしないうちに、ヘリの音が下から聞こえ、救出作業が始まったことがわかりました。太陽が雪渓を照らしだす頃には、稜線も近く、雪もキラキラと輝きます。足元の雪が緩くなってくるのを感じながら、右手に当初の予定だった源次郎尾根、頭上には稜線、またその上に広がる青空と広角の風景を満喫したのでした。平蔵のコルからは、がっしりしたハシゴを登り、雪の全くついていないカニのヨコバイをトラバース、あっという間に剣岳山頂につきました。周囲に広がる風景と、肺に吸い込む冷気を感じながら、行動食を胃袋に詰め込みました。源次郎尾根からは登攀者が到着し始め、コンディションの良かったことを話してくれました。中には、下で起こった事故について知っている人もおりました。



ひとしきり頂上での一時を満喫したあと、前剣経由で剣沢を目指しました。「行きはよいよい帰りはなんとか」で、特に前剣からの下りでは、ひとしきり緊張を強いられましたが、一歩一歩確実に下り、別山尾根を離れ、剣山荘の近くにたどり着く頃には、朝からの一連の出来事を思い出しながら、後ろにしてきた剣岳を振り返り、振り返り、幕営地を目指しました。

個人的には、すでにこのあたりから、もしかしたら今日撤収するかも、という予感を感じながら、へろへろになった足をひたすら引きずっておりましたが、この予感は見事的中し、室堂最終のバスを捕まえるべく、撤収作業、脇目もふらずの別山乗越、雷鳥沢経由の室堂到着となった次第です。ああ、疲れた…。


おまけ:今回、会に入会して初めての山行となりました。最後の撤収は、放電してしまった老体には厳しいものがあり、共同荷物を分担することができず、皆さん、ゴメン、ごめん、御免…。今回は突然の出来事で、予定のルートには取り付くことができませんでしたが楽しい山行をすることが出来ました。それにしても、団子がつくアイゼンはなんとかしたいとつくづく思った次第。今後共よろしくお願いします。

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