阿弥陀岳北西稜【雪稜アルパイン】

日付 2016/2/21(日) 天候 曇り→晴れ 参加 阿久津(CL)【投稿】、久野、相原、穴井 

【コメント】
工程:美濃戸5:30→北西稜取付7:30→森林限界9:30→2ピッチ目10:00→3ピッチ目13:00(支点探しで時間がかかる)→乗っ越し15:00→阿弥陀が岳山頂16:00→美濃戸18:30


八ヶ岳アルパインを始めて厳冬期登攀をしてみたいと以前から目標に考えていた阿弥陀岳北西稜へ行ってきた。
当初の計画では一泊二日で行者小屋をベースに中山尾根と北西稜登攀計画でいたが、土曜日が荒天のため、1日に絞り自分達だけの貸し切り北西稜をアッタクした。

美濃戸口から美濃戸までの林道は雪が殆ど無く轍もそこまで酷くなかったが、前日の雨で赤岳山荘到着前の坂道で4WDスタットだけでは登れずチェーンを装着して登る。美濃戸に到着し少し仮眠をしてからスタートする。北西稜取付きまでの登山道はスケートリンク状態で終始アイゼン装着になった。

北西稜取付きに到着し休憩を取って登攀を開始する。
取付き前半で摩利支天大滝側によれば良かったが、北稜側を登っていた為、そのままトラバースし北西稜尾根へ取り付く、前日標高が低いところは雨だったが標高が高い場所は雪だった様でラッセルが続く。


尾根の樹林帯で既に風が強く今回の登攀が強風と寒さとの闘いになるだろうと感じる。森林限界を超えてから登攀具装着をするが、ここでアクシデントが発生する。自分のザック内袋に入れて保管していたダウンを取り出す際に落としてしまいダウンが沢へ駆け落ちて行ってしまった。

この後の登攀を考えると最悪の状況である。登攀準備を終えて第一岩峰まで各自フリーで慎重に登って行く。

第一岩峰取付きに到着し、「久野、相原」ペアが先に登攀を開始する。「久野、相原」ペアの登攀を待っている間も強風が容赦無く吹き付けてくる。『久野、相原』ペアが進んだ事を確認し、続いて登攀を開始。

登攀図では2ピッチ目Ⅲ級の草付きをトラバースする40mルートと書いてあったが、アックスが効く雪が少なく草付きを探すのに時間がかかる。慎重にアックスが掛かる岩と草付きを探しながら、ロープ一杯まで伸ばすが終了点が見つからず、『久野、相原』ペアが作った支点でストップする。視界が悪く強風の中ルートファインディングを間違えた様で、捨て縄を設置して懸垂下降をしてピッチ始めに戻る。(後にここがダイレクトルートで、捨て縄を設置した場所から2mぐらい先に支点がある事が判明する)

また最初からやり直しになり、支点探しを自分が進んで行うがなかなか見つからず、見つけた時にはロス時間を含めるとこのピッチで2時間30分はロスし、穴井は極寒の中、2時間30分のビレーになった。
『久野、相原』ペアと登攀順番が変わり、『穴井、阿久津』ペアが先行。

3ピッチ目は、穴井がリードして行く支点がなくピッチ終了支点までランナウトして登って行く。本当に支点がなくビレーしているこちらが緊張するが、穴井は終始安定した登攀でピッチを終了する、そしてここで捨て縄を設置した場所から支点が近い事を気づく。
4ピッチ目は自分が行く、確信までのトラバースだが雪の着きが悪く足場が安定しない状態で少しホラーな感じであったが難なくクリア出来た。


5ピッチ目今回の確信であり山岳会の先輩方から「本当に辛い」と聞いてきたピッチである、穴井がリードし登攀をスタートさせる、確信のスラブへ取り付いて登って行く。今回の計画ではアブミを使用しない事を目標に来た為、ドライツーリングで登攀を進めていく。穴井は核心のスラブに取り付いて、一歩一歩着実にドライツーリングでバイルを上手く使いながらクリア。最後の乗っ越しも難なくクリアするかと思ったが、アイゼンがホールドから外れた様で少し落ちるが、バイルのリーシュにテンションが軽く掛かったものの、ザイルにテンションが掛かることなく無事に完登する事が出来た。



セカンドの自分も続いて登って行くが、この辛いピッチをドライツーリングで登攀した穴井の凄さを実感しながら、最後の乗っ越しを越えると景色が変わった、最高の瞬間である。


既に強風とガスは抜けて登攀中には見られなかった八ヶ岳西面の絶景が広がる。『久野、相原』ペアも無事に登攀を終える事が出来、阿弥陀岳山頂で登攀成功を祝う。


16:00近くに山頂へ到着したので、辺りは夕陽に照らされ絵画の中に入った様な絶景が待っていた。山頂で祝杯をあげ、すぐに下山を開始する。


帰りは中岳の沢を雪崩に警戒しながら降りて行く。無事に行者小屋に到着し、南沢を薄暗い中下山して行く。美濃戸に到着したのは18:30であった。帰宅準備を済ませ、疲労と冷えきった身体を温めるためにお風呂向かおうとしたが、美濃戸口手前で年配の方が運転されているプリウスがスタックして道を塞いでおり、脱出の手伝いに1時間掛かった。その後、無事に脱出して自分達も進む事が出来た。完登を祝し双葉SAで晩飯を食べ、帰路に着いた。
山行に参加してくれた最高のメンバーに感謝の1日になった。本当にありがとう。

0 件のコメント:

コメントを投稿